小松法律事務所

40年ぶり改正相続法-配偶者居住権部分の法律案要綱紹介


○「40年ぶり改正相続法-配偶者居住権部分の条文紹介」の続きです。今回は、法務省HP掲載「法律案要綱」のうち配偶者居住権部分を紹介します。縦書きの漢数字が読みにくいので、算用数字に変換しました。



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第一民法の一部改正
一配偶者の居住の権利
1 配偶者居住権
(一)配偶者居住権

(1) 被相続人の配偶者(以下一において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次のア又はイのいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下1において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下一において「配偶者居住権」という。)を取得するものとすること。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでないものとすること。(第1028条第1項関係)
ア遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
イ配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
(2) 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しないものとすること。(第1028条第2項関係)
(3) 二1の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用するものとすること。(第1028条第3項関係)

(二)審判による配偶者居住権の取得
遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができるものとすること。(第1029条関係)
(1) 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
(2) 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき((1)に掲げる場合を除く。)。

(三)配偶者居住権の存続期間
配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とするものとすること。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによるものとすること。(第1030条関係)

(四)配偶者居住権の登記等
(1) 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下1において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負うものとすること。(第1031条第1項関係)
(2) 民法第605条の規定は配偶者居住権について、同法第605条の4の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用するものとすること。(第1031条第2項関係)

(五)配偶者による使用及び収益
(1) 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならないものとすること。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げないものとすること。(第1032条第1項関係)
(2) 配偶者居住権は、譲渡することができないものとすること。(第1032条第2項関係)
(3) 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができないものとすること。(第1032条第3項関係)
(4) 配偶者が(1)又は(3)の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができるものとすること。(第1032条第4項関係)

(六)居住建物の修繕等
(1) 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるものとすること。(第1033条第1項関係)
(2)居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができるものとすること。(第1033条第2項関係)
(3)居住建物が修繕を要するとき(?の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならないものとすること。ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りでないものとすること。(第1033条第3項関係)

(七)居住建物の費用の負担
(1)配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担するものとすること。( 第1034条第1項関係)
(2)民法第583条第2項の規定は、?の通常の必要費以外の費用について準用するものとす
ること。(第1034条第2項関係)

(八)居住建物の返還等
(1)配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならないものとすること。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができないものとすること。(第1035条第1項関係)
(2)民法第599条第1項及び第2項並びに第621条の規定は、(1)本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用するものとすること。(第1035条第2項関係)

(九)使用貸借及び賃貸借の規定の準用
民法第597条第1項及び第3項、第600条、第613条並びに第616条の2の規定は、配偶者居住権について準用するものとすること。(第1036条関係)

2 配偶者短期居住権
(一)配偶者短期居住権

(1)配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次のア又はイに掲げる区分に応じてそれぞれ当該ア又はイに定める日までの間、その居住していた建物(以下2において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下2において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下2において「配偶者短期居住権」という。) を有するものとすること。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は民法第891条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでないものとすること。(第1037条第1項関係)
ア 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日
イ アに掲げる場合以外の場合(3)の申入れの日から6箇月を経過する日
(2)本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならないものとすること。(第1037条第2項関係)
(2)居住建物取得者は、(1)アに掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができるものとすること。(第1037条第3項関係)

(二)配偶者による使用
(1)配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下2 において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならないものとすること。(第1038条第1項関係)
(2)配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができないものとすること。( 第1038条第2項関係)
(3)配偶者が(1)又は(2)の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができるものとすること。(第1038条第3項関係)

(三)配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅
配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、消滅するものとすること。(第1039条関係)

(四)居住建物の返還等
(1)配偶者は、に規定する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならないものとすること。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができないものとすること。(第1040条第1項関係)
(2)民法第599条第1項及び第2項並びに第621条の規定は、?本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用するものとすること。(第1040条第2項関係)

(五)使用貸借等の規定の準用
民法第597条第3項、第600条、第616条の2、1(五)(2)、1(六)及び1(七) の規定は、配偶者短期居住権について準用するものとすること。(第1041条関係)