特別養子縁組制度の基礎の基礎
○菊田医師は、医師法違反で処罰されましたが、「世界生命賞」という賞の第2回目受賞者となり、その後も子どもたちの命を救うために「実子特例法」の制定を訴え続け、その結果、養子を戸籍に実施と同じように記載する「特別養子制度」が昭和62年民法改正で新設されました。
○民法第817条の2は、「家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。」と定め、817条の11に至るまで「特別養子」について定めており、その要点を記載します。
○特別養子とは、家庭裁判所の審判で認められるものであり、これを認める要件は次の6つです。
①養親は夫婦共同縁組であること-独身では養親になれません
②養親のいずれかが25歳以上-一方が25歳以上であれば他方は20歳であること
③養子は原則として6歳未満であること-既に監護されている場合8歳まで延長可
④実父母の同意があること-但し、虐待、悪意の遺棄等特別事情あれば同意不要
⑤縁組の必要性があること-実父母による監護が著しく困難または不適当で養親による監護が永続的且つ十分であること
⑥試験養育-6ヶ月以上の試験養育状況を考慮する
○特別養子縁組を認める審判があると、養子の実父母及び実父母の血族との関係は終了し、養親が養子の法律上の実父母となります。したがって、特別養子の戸籍には、養子の父母欄に実父母の氏名は記載されず、続柄欄には養親の「長男・長女等」と記載され、身分事項欄にも養子縁組の文字は使用されず戸籍の外観上は実子と殆ど変わらなくなります。また離縁は原則として認められません。
○相方の連れ子、いったん普通養子縁組をした子供、孫を特別養子としたい場合の審判が実務ではよくで問題になり、審判例も多数ありますが、縁組の必要性がないとのことで棄却される例が多いようです。学説ではこれらの場合も認めるべしとの見解もあり、私自身柔軟に認めるべきと考えております。